甲状腺がん

甲状腺の疾患には甲状腺がん、甲状腺良性腫瘍,甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)があります。甲状腺がんの中には甲状腺乳頭癌、甲状腺濾胞癌、甲状腺髄様癌、甲状腺未分化癌、などがあります。

我々はこうした甲状腺疾患のほか、副甲状腺腫瘍、副甲状腺機能亢進症、多発性内分泌腫瘍症の診療も行っています。

日本外科学会専門医・認定医、内分泌外科学会専門医、臨床遺伝専門医、家族性腫瘍専門医などの資格を持つ専門医が中心となって診療を行っています。手術方法、薬物療法などの治療方針は、専門医を含めた乳腺内分泌外科医師全員のカンファランスで決めています。
周術期外来(麻酔科)、形成外科、病理部、放射線科、循環器内科、腎臓内分泌内科、歯科口腔外科、整形外科(腫瘍)、ゲノム診療部(遺伝性腫瘍)、がん看護サポートチームはじめ、多くの科・部門・チームと密な連携を構築しています。

検査

甲状腺や副甲状腺の診断には以下のような検査を行います

超音波検査

頚部の病変部を体の表面から調べます。 無侵襲に甲状腺、副甲状腺の大きさや、腫瘍病変の位置や大きさ、性状を調べることが出来ます。症状にもよりますが、5~10分程度で終わります。

CT検査

頚部の病変部をレントゲンで断層写真にして調べます。 甲状腺と周囲臓器の位置関係を詳細に調べることで、より安全に手術が行えるようになります。また、術後の転移・再発を診断する目的でも行うことがあります。

シンチグラフィー

特殊な検査薬が病変部に集まることを利用した検査です。 甲状腺、副甲状腺などの機能や病変の部位などがわかります。

穿刺吸引細胞診

超音波検査で病変を観察しながら、甲状腺に細い針を刺して細胞を採り,顕微鏡で検査します。病変の性状を診断することができます。

血液及び尿検査

甲状腺や副甲状腺ホルモンや抗体などを測定します。副甲状腺疾患では、血液中のカルシウム値を測定します。

手術

甲状腺は、頚部の気管の前方にある体表に近い臓器で、肺や心臓、腹部臓器と違い、治療そのものによる生体ダメージは少ないです。一方、重要な神経や細かい血管が多く、この部位の解剖を熟知した経験ある専門医の治療が必要となります。

前頸部を切開して、気管の上の臓器を操作することは、手術を受ける立場に立つと、たいそう怖く不安が付きまとうものでしょう。しかし、手術侵襲は軽度で、意外にも頚部は術後の疼痛も軽い場所です。鎖骨のすぐ上方を最小限度の切開を置き操作します。手術創は、細いナイロン糸で皮下の連続縫合を行い、針穴を皮膚に開けません。したがって、手術創は1本の細い線として残りますが、6ヶ月~1年後には正面から見ても手術創ほとんど目立たなくなります。

甲状腺癌が左右のどちらかに限局している場合、一般的には甲状腺亜全摘術を行います。甲状腺は左右に葉があり、中央の気管の上は峡部という薄い組織で覆われています。甲状腺亜全摘は腫瘍側の甲状腺と、反対側の下側一部を切除します。乳頭がんは頚部のリンパ節に転移しやすいので、これに加えて、頚部のリンパ節を切除します。(これを郭清と言います。)
甲状腺の腫瘍が大きい場合や反対側にも病変がある場合には、甲状腺全体を切除する甲状腺全摘術を行います。この場合もリンパ節郭清を追加します。

副甲状腺の手術では、甲状腺の周囲をよく検索して、腫大した副甲状腺を摘出します。術中に副甲状腺ホルモンの変化を確認することもあります。

手術のための入院期間はどのくらいでしょうか?

甲状腺・副甲状腺の手術は4~7日程度になります

手術以外の治療はありますか?

放射性ヨードを内服する131ヨード内照射療法やレンバチニブという分子標的薬で治療することもあります

手術後に気を付けることはありますか?

万一がんが再発した場合に早期発見するために定期的な検査が必要です。また、甲状腺ホルモンや血中のミネラル(カルシウム濃度)をコントロールするために内服薬を続けていただくことがあります

外来診察のご予約

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