教授あいさつ

2024年9月16日付で、東京大学大学院医学系研究科 消化管外科学分野に着任いたしました馬場祥史です。この度は、ご挨拶文をお読みいただき、心より感謝申し上げます。

消化管外科学教室は、乳腺・内分泌外科とともに、分院外科(旧・第三外科)を母体とし、長い伝統を誇る教室です。その歴史は、1917年に内務省医術開業試験場(通称・永楽病院)が東京帝国大学に移管され、医科大学附属医院分院となったことに始まります。以降、分院外科は臨床および多岐にわたる研究に積極的に取り組み、世界初の内視鏡(胃カメラ)開発で広く知られています。1975年には分院に外科学第三講座が設置され、1997年には分院と本院の統合や大学院大学化に伴い、第三講座は消化管外科学・代謝栄養内分泌外科学へと発展的に移行し、2002年には本院移転が完了しました。2024年3月末には瀬戸泰之教授が退任されましたが、瀬戸先生の卓越したご指導とご尽力により、教室は大きな発展を遂げました。その伝統を引き継ぎ、さらなる発展を目指すことは、私にとって大きな光栄であり、同時に責任の重さを痛感しております。

馬場 祥史

東京大学大学院医学系研究科 消化管外科学教授

東京大学医学部附属病院 胃食道外科 科長

消化管外科分野(食道・胃外科)では、主に食道癌、胃癌といった上部消化管疾患の治療を担当しています。「高度で最先端の医療を安全に提供する」という理念のもと、ロボット支援下縦隔鏡下食道切除術をはじめとする先進的な医療を提供しつつ、革新的な外科治療の開発に取り組んでいます。また、安全な医療の提供を目指し、関連診療科や各ユニットとの緊密な連携を図り、高度医療チームの一員として日々努力を重ねています。さらに、地域の皆様や医療機関の先生方に信頼される診療科であり続けるため、地域との連携を強化し、質の高い包括的な医療サービスを提供することを重視しています。今後も、患者さん一人ひとりに最適な術式(腹腔鏡、胸腔鏡、ロボット支援下手術など)やアプローチ(縦隔アプローチ、胸腔アプローチなど)を選択し、安全で高度な手術を実現してまいります。

大学病院の責務として臨床研究、基礎研究にも精力的に取り組んでおります。外科医の研究は臨床的疑問や患者さんへの思いから始まりますので、外科教室の強みである臨床検体や臨床情報を活用したトランスレーショナルリサーチ(基礎と臨床の橋渡し研究)を推進しています。がん研究が高度化・多様化する中で、外科教室だけでの研究には限界がありますので、学内外の一流研究者との共同研究、医工連携や産学連携を推進することで、患者さんに還元される社会的イノベーションの創出を目指しています。

近年、消化器外科医の数は確実に減少しており、その人材確保と育成が極めて重要な課題となっています。そこで、学部学生や若手医師に「外科の魅力」を積極的に伝えることを最優先に考え、若手外科医一人ひとりがやりがいを感じながら働ける教育・診療体制の構築に加え、外科医の多様性を尊重した風通しの良い講座運営に注力しています。さらに、国内外の医療機関との連携を通じて人材交流を促進し、“未来を担う消化器外科医”の育成に努めてまいります。 今後とも皆様のご指導を賜りながら、より一層努力を重ね、患者様に寄り添った外科医療を提供していく所存です。どうぞ変わらぬご支援とご協力をお願い申し上げます。

外来診察のご予約

☎03-5800-8630

※乳腺内分泌外科の診療は完全予約制です。

詳しい予約方法について(東大病院へ)